三角保ち合いとは
三角保ち合い(トライアングル)は、価格が上下する幅がだんだん狭まりながら、高値を結んだ線と安値を結んだ線が一点に集まっていく形です。線を1本引くには点が二つ必要なので、ふつうは高値二つと安値二つ、つまり4回以上の転換点があって初めて三角形と呼びます。二つの線が交わる点を頂点(アペックス)、三角形が始まる最も広い部分を底辺と呼びます。二つの線の傾きによって三つに分けます。
- 対称三角形:高値は切り下がり、安値は切り上がる
- 上昇三角形:高値は水平、安値は切り上がる
- 下降三角形:安値は水平、高値は切り下がる
- 二つの線が同じ方向に傾いて狭まるものはウェッジ
対称三角形は方向を語らない
対称三角形は、高値が順に切り下がり、安値が順に切り上がる形です。買いたい側と売りたい側がともに少しずつ引き下がることで値幅が縮まっていく、と説明されます。教科書では先行するトレンドの方向に抜ける継続型に分類されることが多いものの、形そのものには方向の情報がありません。下の図のように、上昇のあとの対称三角形が下に抜けることもあります。方向は、どちらか一方の線の外で終値を付けてから初めて確認できます。急な上げ下げの直後に短くできる小さな対称三角形はペナントと呼び分けられ、「フラッグ・ペナントパターン」の記事で扱います。
例: 架空の価格で描いた対称三角形です。高値を結んだ線は下がり、安値を結んだ線は上がってきて、その間に出来高(下の段)が減っています。先行する流れは上昇でしたが、この例では底辺から頂点までの距離のおよそ4分の3の地点で下に抜けました。
上昇三角形と下降三角形
上昇三角形は、高値が同じ価格で何度も止められる一方、安値がだんだん切り上がる形です。同じ価格に売り注文が出続けているものの、買う側が毎回より高い価格で受け止めているという意味に解釈されます。下降三角形は反対に、同じ価格で何度も支えられるものの、高値がだんだん切り下がります。教科書では上昇三角形は上に、下降三角形は下に抜けやすい形として説明されますが、逆に抜けることもあり、これも確定前は可能性にすぎません。水平線の側は「支持線・抵抗線の引き方」の記事のように一つの価格ではなく幅のある帯として見るのが自然で、サポート・レジスタンス自動検出ツールがスイングの集まった価格帯をゾーンとしてまとめるのも同じ考え方です。
例: 架空の価格で描いた上昇三角形です。高値は同じ価格(120)で何度も止められ、安値は順に切り上がります。上に抜けやすいと説明されますが、確定は水平な抵抗線の上で終値を付けたあとです。
収束するあいだに縮む出来高とボラティリティ
三角形の中で値幅が狭まるあいだ、出来高もあわせて減る傾向があると説明されます。最初の図の下の段が、その様子をまねたものです。足の動きが小さくなるので、ボリンジャーバンドのバンド幅とATRも縮む方向に動きます。ボリンジャースクイーズ・スキャナーでバンド幅が狭まった銘柄を探してみると、チャートに三角形のような形が一緒に見えることがあります。ただし、ボラティリティが縮んだということは大きな動きが出うるという意味にすぎず、どちらの方向かは教えてくれません。突破時に出来高が増えることを確認の根拠に挙げる説明も多くあります。
目標値:最も広い幅を突破地点から
三角形の目標値として最もよく使われる計算は、底辺、つまり三角形が始まったときの最も広い縦の幅を測り、突破(割れ)の地点からその分だけ移すものです。下の図の下降三角形では、1つ目の高値118と水平な支持線100の幅18を、支持線を割った100から引いて82になります。底辺をどこで測るか(1つ目の高値か、二つの線が始まる所か)によって幅が少しずつ変わり、目標値も人によって違います。ヘッドアンドショルダーやダブルボトムの記事と同じく、この値はパターンの大きさを移してみた参考値であり、価格が到達するという意味ではありません。
例: 架空の価格で描いた下降三角形です。最も広い幅(1つ目の高値118 − 水平支持線100 = 18)を、支持線を割った地点から下に移した82が目標値です。到達を意味する値ではありません。
頂点に近づくほど意味が弱まるという慣習
古典的な説明では、底辺から頂点までの距離の半分から4分の3くらいの所で突破が出るのを典型とします。頂点にほぼ届くまで突破がないと、二つの線の間が狭くなりすぎて少し動いただけで線から外れるようになり、そうした抜けはパターンの結末というより、ただ流れ出たものに近いと見ます。そのため、頂点の近くまで進んだ三角形は意味を失ったものとみなし、チャートを読み直すのが慣習です。これも経験から生まれた慣習であって、検証されたルールではありません。狭まった先端部分では小さな揺れでもヒゲが線を越えてから内側に戻りやすく、終値・リテスト・出来高で確かめる方法と、確認を待つぶん遅れる代償については「ブレイクとダマシ」の記事で扱います。
限界:引く人ごとに違う三角形
三角形は、どの高値と安値を結ぶか、ヒゲと実体のどちらに線を合わせるかを選んだ瞬間に形と突破した足が決まるので、同じチャートでも人によって違う三角形ができます。過去のチャートでは突破の方向をすでに知ったうえで線を引くことになり、パターンが実際よりよく当たるように見えます。この講座が直接測った統計にはチャートパターンが含まれておらず、ここで確認できない外部の成功率は載せていません。三角形は、変動が縮んだ区間とその境界を示す形として読み、方向は境界の外で付いた終値で確かめる、というくらいが、このパターンについて比較的自信を持って言える内容です。
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